経頭蓋MRガイド下集束超音波治療(MRgFUS)

経頭蓋MRガイド下集束超音波治療(MRgFUS)

2019年6月1日に、薬物治療で十分な効果を得ることのできない本態性振戦を対象とした、経頭蓋MRガイド下集束超音波治療(MRgFUS)が保険収載されました。さらに、2020年9月1日に、薬物治療で十分な効果を得ることのできないパーキンソン病に対する振戦及び運動症状緩和を目的とした治療についても保険収載されました。

経頭蓋MRガイド下集束超音波治療(MRgFUS)について

MRIでリアルタイムに治療ターゲットの位置と温度をモニタリングしながら、約800~1000本の超音波を一点に集束させてターゲットを熱凝固し、破壊する治療です。
2016年12月、本態性振戦の治療用医療機器として薬事承認を受け、新規の治療法として注目を集めました。

従来、薬物治療で十分な効果を得られない本態性振戦に対しては、頭蓋骨に小さい孔を開けて(穿頭:せんとう)、電極を脳に刺入・留置する手術が必要でしたが、MRgFUSでは頭蓋骨や脳の標的部位以外を傷つけることなく、標的部位のみを熱凝固するので、侵襲性が低いことが特徴です。当院では早期より本態性振戦やパーキンソン病に対する臨床試験を実施し、50例以上の治療を経験しています。

※ランプ点灯:照射中

本態性振戦とは

「本態性」は「原因がはっきりしない」、「振戦(しんせん)」は「自分の意思に反して起こる、規則正しいリズミカルなふるえ」という意味です。手のふるえから字が書けなくなる、茶碗やコップを持つことができないなどが特徴的な症状で、日常生活に不自由をきたすことの多い病気です。まず行われるのは薬物治療ですが、薬剤抵抗性を示す(薬の効果が乏しい、あるいは合併症や副作用のために薬を用いることができない)場合には手術を検討することがあります。

パーキンソン病とは

ドパミン神経細胞の減少により、体のスムーズな運動調節に必要なドパミンが減少することで動作緩慢、振戦、筋固縮、姿勢保持障害などの運動症状を引き起こす、国の指定難病の1つです。パーキンソン病も薬物治療が第一選択ですが、薬物療法で十分な効果が得られない場合には手術を検討することがあります。

MRgFUSの対象となる方

「薬剤抵抗性を示す本態性振戦の患者さま」、「薬物療法で十分に効果の得られないパーキンソン病における振戦及び運動症状のある患者さま」がそれぞれMRgFUSの対象となります。治療をご希望の方は主治医(かかりつけ医)からの紹介状をご準備の上、当院宛にお問合せ下さい。

  • 日本国内有効の健康保険証をお持ちでない方は、自由診療となります。
  • 初診時には必ずお薬手帳をお持ち下さい。現在、常用薬がない場合であっても、過去の服薬内容を明記した文書をご準備下さい。過去の服薬歴を明らかにしていただかないと薬物治療の効果を確認することができませんので、MRgFUSをお引き受けいたしかねます。

医療機関からの御紹介についての御願い

① MRgFUSの適応は、「薬物治療で十分に効果が得られない本態性振戦及びパーキンソン病の患者に対して視床を標的とする」「薬物治療で十分に効果が得られないパーキンソン病の患者であって、脳深部刺激術が不適応の患者に対し、運動症状の緩和を目的として淡蒼球を標的とする」と明記されています(令和2年3月5日保医発 0305 第1号)。
従いまして、

  • 薬物療法で十分な効果を得ることができている患者さま
  • 薬剤抵抗性が確認されていないと当方が判断する患者さま
  • 本態性振戦・パーキンソン病以外の疾患に罹患されている患者さま

は本治療の対象となりません。

② 頭頸部の振戦が目立ち、これの治療を希望される患者さまが稀にいらっしゃいます。頭頸部の振戦についてはMRgFUSや他の脳外科的治療の効果が十分に評価されておりませんので、頭頸部の振戦の治療を目的とするMRgFUSをお引き受けすることはできません。

③ 本態性振戦またはパーキンソン病と診断を確定できていない患者さまについては当科の初診枠へご紹介下さい。

④ 御紹介に際して、患者さま・ご家族さまに下記をご説明下さい。

  • 治療では覚醒下にMRIのテーブル上で2~3時間、横臥することになります。このことに同意することのできない患者さま、またはその意思がない患者さまは本治療の対象外となります。
  • 頭部CT・頭部MRI・血液検査の結果がMRgFUSの除外基準に該当する場合には治療を行うことができません。
  • 抗血小板剤・抗凝固剤を投与されている症例は、治療の1週間前からこれらを休薬する必要があります。休薬については治療チーム内でも協議いたしますが、参考にさせていただきますので休薬についてのご意見をいただきたく存じます。
  • 上記以外にも除外規定があり、該当する患者さまは本治療の対象外となります。
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