下肢治療

対象となる疾患

PAD (Peripheral Arterial Disease: 末梢動脈疾患) :下肢動脈 (腸骨動脈・浅大腿動脈・膝窩動脈・膝下血管)の狭窄、閉塞

末梢血管治療(Endovascular therapy:EVT)

以前は PTA (Percutaneous Transluminal Angioplasty: 経皮的経管的血管形成術)という呼び名が主流でしたが、必ずしも血管形成のみが治療の方法論ではないことから、最近ではEVTという呼び名が使われています。
冠動脈インターベンション(PCI)で培った技術をいかして、狭窄部位をバルーン(風船)やステント(金網の筒)を用いて広げる治療法です。多くの場合鼠径部(太股の付け根)からカテーテルを挿入しますが、治療部位や患者さんの状態によっては肘からカテーテルを挿入することもあります。まず穿刺部に局所麻酔をして注射針で穿刺し、針穴からガイドワイヤーを挿入します。ガイドワイヤーが血管内に入ったら針を抜いてシース(止血弁付きの短い管)を挿入します。このシースからバルーンやステントを出し入れします。バルーンを狭窄部位まで進め、拡張することにより血管内腔を広げます。手技が終わったら、カテーテル、シースを抜去して10-20分間用手圧迫止血を行います。動脈は再出血の危険性があるためその後も穿刺部を弾性テープで圧迫固定し、6時間完全なベッド上安静が必要です。6時間後は内出血などがなければ反対側の足を動かしたり、横向きになったりできるようになります。歩行は翌日より可能となります。

末梢血管の疾患は、全身の動脈硬化を反映しての病態であり、血管内治療だけの知識では不足があります。従って、EVTだけではなく薬物治療、運動療法、補助療法を総合的に行いながら全身管理が行える循環器内科医師による治療は、非常に重要なことと考えております。適切な薬物療法と併せてEVTを施行することで、救肢および再発の低減への大きな寄与をしております。

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