尿路結石症の治療

尿路結石症について

尿路結石症は、昨今の生活習慣の変化により増加しています。日本人男性の7人に1人、女性の15人に1人が生涯に罹患する疾患であり、再発率が5年で45%と高いことも特徴です。尿路結石は、上部尿路(腎臓、尿管)と下部尿路(膀胱、尿道)に分類され、全体の95%が上部尿路結石とされます。尿管結石は数mmの小さな結石であれば自然排石が期待できますが、排石されない場合には破砕治療が必要になります。また、腎結石の場合は多くが無症状ですが、将来的に尿管への嵌頓が予想されるものや、長期間の放置により腎機能が低下する恐れのあるものは、積極的な破砕治療を検討します。当院ではTUL(f-TUL)やPNL、ECIRS、そしてESWLと幅広い治療を行うことが可能です。結石の位置や大きさ、個数、患者さんの全身状態や併存疾患を総合的に評価し、最適な治療法を提案します。

治療方法について

TUL /f-TUL(経尿道的尿路結石破砕術)

 入院期間:2泊3日 ※個人差がございます

尿道より細い内視鏡を入れて、尿管結石にホルミウムYAGレーザーを照射して破砕します(TUL)。破片は鉗子で体外に取り出すか、砂状になるまで細かく破砕することにより自然排出を促します。腎結石の場合は、柔らかい尿管鏡を使用します(f-TUL)。どちらの場合も、治療後に尿管ステントを留置することがあり、通常は1〜2週後の外来で抜去します。TUL/f-TULは、体外衝撃破砕術(ESWL)が苦手とする硬い結石や大きな結石、複数個の結石、下腎杯結石などに対しても有効であり、破砕効果の高い方法です。

ECIRS(経皮的経尿道的結石破砕術)

 入院期間:4泊5日 ※個人差がございます

ECIRSとはTUL(経尿道的結石破砕術)とPNL(経皮的結石破砕術)を同時に行う手術です。
PNLは、背側から腎盂へ経皮的にアプローチする治療であり、TULに比べて結石の破砕・除去効率に優れます。しかし、内視鏡の操作範囲が狭く、術中の出血が多い場合があります。ECIRSは、PNLに操作範囲の広いTULを組み合わせることで双方のデメリットを補い、メリットを活かせる治療法といえます。TULやPNL単独では完遂が難しい巨大な結石や、複数回の治療を要する多発結石に対して適応があります。ECIRSは2021年度に本邦で保険収載された、まだ導入施設の少ない新しい治療法です。当院では2024年度より細径腎盂鏡を使用したmini ECIRS手術を導入しています。

当院でのECIRS 手術の様子

ESWL

 入院期間:1泊2日 ※個人差がございます

結石に対し、レントゲンを用いて照準を合わせ、体外より発生させた衝撃波を当てることで破砕する治療法です。1泊という短期間の入院で、麻酔を行うことなく治療することが可能です。衝撃波は多少の痛みを伴いますが、鎮痛剤の使用や、衝撃波の調節により疼痛管理を行います。10mm程度の結石が治療対象となりますが、比較的大きなものは複数回の治療が必要になる場合もあります。

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