低侵襲前立腺肥大症手術
前立腺肥大症手術には複数の方法があります。当院では、経尿道的ホルミニウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)や経尿道的前立腺切除術(TURP)を行なっていますが、この度UROLIFTとWAVE治療を導入しました。どちらも2022年に本邦で保険収載された新しい治療になります。
従来の手術に比べて、手術時間や入院期間が短く、身体にかかる負担が少ない低侵襲な手術です。ご高齢の方や、併存疾患による手術や麻酔の合併症リスクの高い方、抗血栓薬の休薬が難しい方にも適用となります。
経尿道的前立腺吊り上げ術(UROLIFT)
前立腺のなかに小型のインプラントを埋め込み、肥大した前立腺を圧迫し牽引することで、尿道を拡張する治療法です。前立腺組織の切開、加熱、切除が不要であり、体にかかる負担が少なく、性機能を温存できると期待されています。
方法
UROLIFTデリバリーデバイスを経尿道的に標的とする閉塞部位まで挿入します。
デリバリーシステムからのニードルを介して留置される小型のインプラントにより、閉塞した尿道を広げます。一人の患者さんに対して、通常4〜6個のインプラントを留置します。手術時間は15分程度です。
特徴
入院期間:2泊3日程度
早期の症状緩和と回復が見込まれます。
術後の尿道カテーテル留置期間は1〜2日程度と短いです。
側葉肥大及び中葉肥大を含め、中程度までの体積の患者さんが適応となります。
経尿道的水蒸気治療術(WAVE治療/Rezum)
水蒸気が持つ熱エネルギーを用いて、前立腺体積を減少させ、排尿障害を軽減する治療法です。切開、切除が不要であり、体への負担が少なく、性機能の温存が期待される手術です。
方法
Rezumデリバリーシステムを使用し、103℃の水蒸気を9秒間噴霧することで、前立腺組織を約70℃まで上昇させます。組織の壊死と、自然吸収による除去により、尿道を広げます。手術時間は15分程度です。
特徴
入院期間:3泊4日程度(※外来で尿道カテーテルを抜去する場合は1泊2日)
術後の尿道カテーテル留置期間には個人差があります。(3〜30日)
おおよそ2週間程度、長くても3ヶ月後には排尿状態の改善が期待できます。
側葉肥大及び、中葉肥大に加えて中心領域の過形成に対する治療が可能です。
前立腺肥大症手術の新たな選択肢をご紹介しました。
これまで身体の状況により、手術が困難とされた方も適用となる可能性があります。
当科では、従来の経尿道的手術も含め、患者さんに合った治療法をご相談させていただいております。治療法の詳細については、担当医までご質問下さい。
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