臍ヘルニアの治療
臍ヘルニアとは
臍ヘルニアとは
赤ちゃんはお母さんのおなかの中にいる時にはへその緒で繋がっており、血液や栄養などをへその緒を通じて受け取っています。
生まれた後にへその緒は切られ約2週間前後で自然に取れて、へその緒の通り道(臍輪)が自然にふさがっていきます。
しかし、赤ちゃんの時には腹筋が未発達なため、臍輪が下がりきらず腸の一部が外にぽこっと出てしまうことがあり、これが臍ヘルニア(でべそ)の原因になります。
このヘルニアの穴は、1〜2歳くらいまでは自然にふさがる可能性があります。
臍ヘルニアの治療の変遷
昔は・・・
硬貨で圧迫、テープで圧迫などの保存療法を行っていましたが、治癒促進効果が少なくかぶれなどの合併症が多いと言われてきました。
そこで、自然に治る可能性があるので1歳くらいまで何もせずに経過をみて、1歳過ぎても穴が閉じないようであれば手術で穴を閉じることを考えましょうという方針とされてきました。
多くはそれでも大丈夫ですが、中にはいつも腸管が脱出していると臍がどんどん大きくなり、限界を越えて伸びた皮膚は元に戻らなくなり、たとえヘルニアの穴が閉じたとしても皮膚が余り、陥凹が浅く大きな臍になる可能性があります。
このようになった臍を通常の臍に形成する手術はとても難しく、満足が得られないこともあるので、最近では臍が大きくなることを予防したほうが良いという考えで、各施設で綿球やスポンジなどによる圧迫療法が見直されるようになってきました。
当院における圧迫療法
当院では擦り傷などの創傷処置に使用する皮膚保護剤を用いた圧迫療法を行っています。
年間100例ほどに圧迫療法を行っており、多くは1か月程度で大きな突出はなくなります。
最初は週1回程度の外来受診でテープを交換しますが、ある程度凹んできたら、綿球圧迫に変更して自宅で週1回交換してもらい、月1回程度の頻度で外来受診していただき、臍の形を整えるように調整しつつ1歳頃までフォローしています。
- 入浴は通常通り。
- 7日~14日に1回外来で交換。交換時にかぶれチェック。
- かぶれがみられたら数日休んでまた再開する、
- 穴が閉じるまでフォローアップ。
※圧迫療法の主目的は臍拡大の予防であり、ヘルニアの穴が閉じるかどうかは圧迫の有無に関係するという明確な証明はされていません。
圧迫しても治らないかもしれず、圧迫しなくても治る可能性はありますが、臍拡大の予防にはかなり有効と思われます。
手術療法
- 乳児期から圧迫療法を行っても自然軽快しなかった例
- 1歳以降に受診して自然軽快が期待できない例 → 手術療法を考慮します。
鼡径ヘルニアと比べ、嵌頓(かんとん:腸が穴にはさまって血流が悪くなり、放置すると腐ってしまう状態)をおこす頻度は0.6%と少ないため、手術の目的は、主として美容的なものとなります。
通常は臍の下の皮膚を切り、ヘルニアの穴を縫い閉じたあとにくぼみをつくるように臍を形成します。
手術時期について
1歳までは自然に治る可能性があるので手術はせずに、多くは2歳以降で行いますが、嵌頓例や乳児期から圧迫療法を行っても改善が乏しく、突出が強い例などは1歳過ぎに行うこともあります。
そのあとは特に手術時期の決まりはありません。どの時期でも全身麻酔下に1泊2日で行っており、手術、麻酔のリスクは変わりません。
- 臍の形は成長とともに変化する → 大きくなってからのほうが良い
- 年少児のほうが後になって覚えていない → あまり痛がらない。
- 集団生活を始めるようになると、本人が気にするようになる → 小さいうちのほうが良い
臍の形は人それぞれで、特に気にならないのであれば無理に手術を勧めることはありません。ご家族で良く話し合って相談して下さい。
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