小児包茎の治療
小児包茎の治療
おちんちんの先を包む皮膚(包皮)の口が狭いために、おちんちんの先(亀頭)を出せないものを真性包茎(図1)といい、包皮をめくって先を出せるものは仮性包茎(図2)といいます。
一般的に包茎といえば真性包茎をいいます。しかし、小児の包茎は病気ではなく、生理的な状態です。
真性包茎には生まれつきのもの(先天性)と生まれてからおこるもの(後天性)があります。真性包茎は年齢が上がるにしたがって少なくなり、新生児ではほぼ100%、1歳までの乳児では約80%、1歳から5歳の幼児では約60%、小学生では約30%でみられ、思春期以降ではさらに少なくなります。後天性包茎は、包皮が何回もただれたあとや、環状切開術のあとに皮膚が狭くなってできることがあります。
症状
- 亀頭包皮炎
包皮や全体に赤味や腫れがあり、触らなくても痛がったり、おしっこのときに痛みを感じます。抗生物質を飲んだり軟膏を塗って治療します。 - 嵌頓包茎
包皮を引っ張って無理におちんちんの頭を出そうとすると、狭い皮膚で締め付けられて、亀頭がひどく腫れてしまうようになります(図3) - 排尿障害
おしっこをするときに、包皮におしっこがたまってふくらんだり、おしっこが細くしか出なくなることがあります。 - 尿路感染新生児や乳児では尿路感染の原因になることがあるとされていますが、わが国では非常に少ないです。
治療
乳幼児期の包茎は生理的なもので、ほとんどは治療の必要はありません。
しかし、上記のような症状がみられた場合などは治療を考慮します。
保存的療法
ステロイド軟膏療法
包皮を牽引してステロイド軟膏を塗ることで、包茎の改善がみられます。
作用機序
- 皮膚を菲薄化させ皮膚の伸展を良くする
- 抗炎症作用
- 浸潤作用
やりかた
1日1回入浴時に痛くない程度に包皮をひっぱり、くびれを中心に全周性に軟膏塗布します。
平均すると約1か月半ほどで尿道の出口(外尿道口)が露出するようになります。
その後も1年くらいは包皮翻転を続けます。
- 有効率は85〜90%と言われています。
- 1歳で外尿道口が全く見えない場合は治療を考慮したほうがよいかもしれません。
- 1年以上軟膏を塗り続けても、ステロイドの全身に及ぼす影響はないと言われています。
手術療法
保存的治療を行っても全く外尿道口が見えない場合、包皮炎を繰り返したり、無理な牽引で包皮が傷つき、治るときに皮膚が硬くなってしまった(瘢痕化と言います)場合や、勃起時に皮膚に絞められて痛みが出るような場合は手術を考慮します。
手術には、包皮口拡大術;背面切開(おちんちんの皮の狭い部分を何か所か縦に切開し、横に縫合することで広げてあげる)という方法と、環状切開(包皮の狭い部分を全周大きく切り取って、常に亀頭が露出した状態にする)という方法の2種類があります。
包皮口拡大術(背面切開:Welsh法)
包皮を切離しないので、術後仮性包茎となります。
環状切開術
日本国内においては、年少期に亀頭が常に露出している状態は違和感があり、場合によってはいじめなどの原因になることもあると思われ、当科では年少児には包皮口拡大術を、思春期前後に環状切開術を考慮しています。
宗教上の理由などによる新生児期~幼児期に行う環状切開術(いわゆる'割礼')は当科では行っていません。
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