疾患について
ペインクリニックで扱う代表的な疾患
腰や下肢の痛み(椎間板ヘルニア、圧迫骨折、脊柱管狭窄症、変形性脊椎疾患など)、頸や肩の痛み、肩関節周囲の痛み(いわゆる五十肩)、緊張型頭痛、三叉神経痛、帯状疱疹痛(帯状疱疹のでき始めの痛み)、帯状疱疹後神経痛(帯状疱疹ができてから3ヶ月以上続く痛み)、腰椎術後の痛み、変形性膝関節症など
※線維筋痛症、全身の痛みの診断・治療は当科では行なっていません。
痛みセンター(ペインクリニック)では神経ブロック治療を主に薬物治療を併せ、患者さんの痛みの軽減することにより、生活が楽になるように治療を行っていきます。しかし、当院を受診される患者さんの多くは、整形外科や整体・マッサージなどで痛みが軽減しなかった難治性の痛みであることが多く、全ての患者さんの痛みを軽減できるわけではありません。神経ブロック治療の有効な痛み・しびれは、「温めると痛みが軽減する」、「痛みの 範囲が限定している」などが挙げられます。
神経ブロック治療が有効な痛み・しびれについて
- 温めると痛みが改善する
(例)お風呂に入ると痛みやしびれが良くなる - 痛みの範囲がか確定している
(例)痛みの範囲が指してはっきりわかる
※全身のあちこち痛い → 神経ブロックの適応外
神経ブロック治療は下図のように大脳に伝わる痛みの信号を一時的に伝わりにくくすることを1〜2週間の間隔で繰り返し行うことで徐々に痛みが軽減していきます。治療のイメージとしては下図のようになります。
ペインクリニックでみる知ってもらいたい疾患
三叉神経痛
三叉神経痛は、人間が感じる痛みの中の最も強い痛みです。痛みの特徴は「電撃的激痛(キリで顔をグサッと何回も刺されたような痛み)」で、トリガーポイント(痛みの誘発点)があります。また、日常動作(洗顔・食事・歯磨きなど)で痛みが増強し、発作期(症状が出る)と寛解期(症状が落ち着く)があります。
ただし、必ずしも顔が痛い=三叉神経痛ではないので、要注意です。
三叉神経痛の原因
三叉神経痛の多くの原因が、三叉神経と脳内の動脈が接することによって、顔からの知覚神経の刺激が増幅されて激しい痛み刺激を生じます。
三叉神経痛の治療
三叉神経痛の治療法は、発作期を何とか切り抜けることです。痛みが強く我慢できない場合、熱で神経を破壊する高周波熱凝固術もあります。この治療では、顔面の知覚や味覚等の感覚がしばらく低下します。
治療は以下の4つがあり、痛みの度合いやどのくらい生活に影響が出ているかなどを患者様と相談したうえで治療法を選択してもらいます。
- 薬物療法:テグレトール(特効薬:カルバマゼピン)
- 神経ブロック(末梢枝、ガッセル神経節)
- 血管減圧術(脳神経外科)
- γ-ナイフ(脳神経外科・放射線科)
薬物療法:テグレトール
三叉神経痛には、テグレトール(神経を軽く麻痺させる)が特効薬ですが、600㎎/日以上の内服を続けると、肝機能障害を引き起こす可能性があります。
そのため、テグレトールを600㎎/日以上内服しないと痛みが改善しない場合や薬剤性アレルギーなどで内服ができない場合は、神経ブロックを行ないます。
神経ブロック治療
神経ブロックとは、三叉神経まで針を進め、局所麻酔薬や熱(高周波熱凝固術)・無水エタノール(神経破壊薬)により神経を麻痺させ、三叉神経痛を和らげるブロックです。
神経ブロックのメリット・リスク
メリット:三叉神経痛を和らげることができます
数回の局所麻酔薬で痛みが和らぐことがあります
帯状疱疹後痛
帯状疱疹後痛とは、帯状疱疹の発症に伴って起こる痛みのことです。では、帯状疱疹とは何かと言いますと、小児の水疱瘡(水ぼうそう)のウイルスが治った後も神経の中に潜んでいて、疲れた時や体調の悪い時など免疫力が下がってしまったときに発症します。症状としては、身体の左右どちらか一方に皮膚神経の支配領域に沿って赤い斑点と小さな水ぶくれ(火傷のような)の発疹が帯状に現れます。痛みとしては、皮膚に触るとビリビリする痛みや奥の方からズキズキする痛み、重だるい・つっぱったような痛みが生じます。50歳以上の方に多く、年齢にもよりますが、帯状疱疹後神経痛(帯状疱疹ができてから3ヶ月以上続く痛み)に移行することもあります。帯状疱疹後神経痛は、上記の皮膚に触るとビリビリする痛みが残ります。
帯状疱疹後の痛みの対処法
帯状疱疹は、あくまで皮膚の病気なので、痛いからじっとしていると痛みのことばかりだけ考えてしまい、痛みの破局的思考になり、痛みがどんどん強くなってしまいます。帯状疱疹の痛みは、温めると痛みが軽くなったり、何かに集中していると痛みが軽くなったりしますので、じっとしているのではなく、温めたり、何かに取り組んだりするようにしてください。
また、それだけでなく、帯状疱疹は痛みの治療も重要です。できるだけ早く神経ブロック治療を開始することにより、帯状疱疹後神経痛への移行を減らすことができます。
主な治療方法
外来
- 薬物療法
- 神経ブロック治療:硬膜外ブロック、星状神経節ブロック、肋間神経ブロックなど
入院
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