帝王切開瘢痕部症候群

帝王切開瘢痕部症候群とは

帝王切開術後で切開した子宮の筋肉どうしがうまく癒合せず、子宮壁の菲薄化や、子宮内に粘液が貯留した状態を帝王切開瘢痕部症候群といいます。①妊娠糖尿病 ②複数回の帝王切開術 ③肥満 ④子宮口開大後の緊急帝王切開術 ⑤子宮後屈 がリスクとなります。
子宮内に粘液が貯まると着床障害の原因となることがあり、薄くなってしまった子宮の壁を切り取る手術を行うことで妊孕性が改善する可能性があります。
また稀ではありますが、薄くなった子宮の壁が妊娠に耐えきれず、子宮破裂を起こすことがあります。
妊娠を希望されない場合、過多月経などの症状がなければ、治療の必要はありません 。

薄くなった筋層

検査

エコー、MRI、子宮鏡

帝王切開瘢痕部症候群と不妊症

帝王切開瘢痕部症候群が原因で子宮内に粘液が貯留してしまうと、せっかく子宮まで到達した受精卵が粘液とともに流されてしまい、不妊につながることがあります。
 帝王切開術後の方で、なかなか次の妊娠をしない、月経量が増えた、粘液様の帯下が続いている、などの症状を認める場合は帝王切開瘢痕部症候群の可能性がありますので、ご相談ください。

帝王切開瘢痕部症候群の治療

以下の2通りの治療法があります。

①腹腔鏡下瘢痕部切除術

子宮鏡を使って子宮の内側から薄くなってしまった筋肉の層を同定し、腹腔鏡下で切除・再建を行う手術です。

  • 長所:薄い子宮の壁を除去することができる(子宮破裂の予防)、治療効果が高い
  • 短所:子宮頸管が短縮する、腹部に小さい手術創ができる
薄くなった筋層を切り取って、両端を繋げる

②子宮鏡下瘢痕部切除術(当院では実施していません)

子宮鏡を使って瘢痕部と、その周囲の組織を切除する手術です。

  • 長所:入院期間が短い、傷ができない、治療効果も十分に期待できる
  • 短所:子宮の壁を補強できない、子宮壁が2-3mm以下の場合に適応外

当院では、妊娠時の安全性の観点から、薄くなった子宮筋の補強ができる子宮鏡併用腹腔鏡下帝王切開瘢痕部切除術を実施しています。

当院での取り組み

再発予防のため、組織を傷害しやすい電気メスは極力使わないようにしています。
切除範囲が狭いと治療が不完全となり、広いと頸管短縮や、頸管粘液減少などの合併症が生じます。そのため、手術中に子宮鏡や特殊な色素を使用しつつ適切な切除範囲を決定します。

手術のリスク

子宮筋層菲薄化の再発、頸管粘液の減少、子宮頸管狭窄、他臓器損傷(特に膀胱損傷)、術中・術後出血、創部感染、深部静脈血栓症、その他不慮の合併症。

術後について

術後、3〜6ヶ月間の避妊期間が必要です。分娩は全例帝王切開術となります。

診療科・部門