子宮筋腫とは

子宮筋腫とは良性の腫瘍で、子宮の筋肉より発生します。発育する場所により、粘膜下筋腫、筋層内筋腫、漿膜下筋腫の3種類に分類されます(図1)。生殖年齢にある全女性の約3割が発症すると言われ、その多くは無症状で治療を要しません。しかし、不妊症の原因と推定される場合や、妊娠中の腹痛や、切迫早産などの周産期合併症が強く見込まれる場合、貧血、腹痛、多尿など、有症状性の場合は手術適応になります。

(図1)

子宮筋腫と不妊症

不妊症の原因となりうる子宮筋腫は、粘膜下筋腫と筋層内筋腫の2種類です。粘膜筋腫は全て手術適応と考えて良いでしょう。筋層内筋腫は ①子宮内腔(赤ちゃんが育つ場所)の変形がある場合(図2) ②子宮内膜(着床する膜)に極めて近い場合(図3) に手術適応になります。
一方で、漿膜下筋腫は不妊症の原因とはならず、多くの症例で手術は不要です。

治療 腹腔鏡下筋腫核出術

正面に見えているのが子宮筋腫です

1.子宮筋層を切開し、筋腫を露出させます

2.子宮筋腫を子宮筋層から全周的に剥離します

3.すると子宮筋腫が子宮から核出されます

4.切開した子宮筋層を吸収糸(溶ける糸)で縫合します

5.筋層を全て縫合して完成です。

当院でのこだわり

子宮筋腫はMPC(myoma pseudocupsule)と呼ばれる組織に覆われており、筋腫の核出の際に損傷してしまうと出血多量となる他、子宮穿孔のリスクとなってしまいます。当院ではMPCを意識した核出を行うことで、出血を少なく、子宮穿孔を極力避ける手術を行っています。

手術のリスク

術中・術後出血、創部感染、他臓器損傷、子宮穿孔・穿孔による子宮内癒着、深部静脈血栓症、その他不慮の合併症。
また、ごく稀に(0.03%)摘出した腫瘍が悪性である場合があります。その場合、追加での治療が必要になる可能性があります。

術後について

子宮の創を安静にするため、数ヶ月の避妊期間を要します(施設によります、当院は3〜6ヶ月)。
筋腫を核出した部分は筋肉が薄くなってしまうため、分娩時に陣痛に耐えきれず子宮破裂を来すことがあります。そのため、腹腔鏡で筋腫を核出した後の分娩は帝王切開となります。

診療科・部門