臨床工学科
臨床工学技士の歴史
臨床工学技士法は、1987年2月から、厚生省(現厚生労働省)の「新たな医療関係職種の資格制度の在り方に関する検討会」で全9回の検討会で議論が重ねられ、6月に内閣提出法案として第108国会にて可決成立し公布された。呼吸・循環・代謝機能をつかさどる医療機器を生命維持管理装置として、その操作を行っている多様な分野で"活躍する技士を総じて「臨床工学技士」として国家資格法制化された。臨床工学技士の業務は、保健師助産師看護師法の一部を開いて、診療の補助が可能であるが、2021年5月、「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」により、医師法が改正され、それに伴い臨床工学技士法も制定以来、初めての改正が行われ、麻酔補助・スコープオペレータ・直接介助などの臨床業務も追加された。
医療機器管理領域
- 医療機器安全管理責任者の業務
2007年(H.19)改正医療法から設置された「医療機器の安全管理」責任者です。当院では臨床工学技士が担っており、医療機器の適切な保守を含めた包括的な管理に係る実務を行っております。 - 医療機器管理業務
医療機器は、電子カルテ内のソフトを用いて中央管理しており、人工呼吸器・輸液ポンプ・シリンジポンプ・持続吸引器などの貸出・清掃・整備・点検を行っています。医療機器が安全に効率よく使用できるよう努めています。また職員に対して、医療機器の安全使用のための研修を行っています。
代謝領域
- 血液浄化業務
腎臓病センタは50床を有し、月・水・金と火・木・土ともに2クールで外来透析患者の受け入れを行っております。 - 持続的血液浄化業務
夜間に持続血液透析が必要な場合にもICUなどにおいて対応を行っております。 - 人工膵臓業務など
手術後の血糖管理には、人工膵臓装置を導入しています。当院では2020年に施設基準を取得し、6月より肝臓や膵臓の切除手術後や糖尿病のある方の手術後の血糖管理を医師の指示の下、臨床工学技士が人工膵臓の操作を扱っています。
呼吸器領域
- 呼吸器業務
ICUや病棟で使用する全ての人工呼吸器を巡回し、使用前・中・後の点検ならびに定期点検を行っています。 - 睡眠時無呼吸症候群(SAS)導入説明
CPAP装置の導入時説明、在宅人工呼吸器使用時のメーカーや他部署との連携も行っています。 - 搬送業務
人工呼吸器を使用しながらの転院搬送(他の高次医療機関への移動)では、救急車に同乗するなど様々な業務支援を行います。
内視鏡領域
- 内視鏡検査
内視鏡検査・治療では、医師の直接介助を行い、内視鏡室にて使用されている機器の保守点検、スコープ洗浄、デバイス管理業務を行います。 - ESD
検査で行われるpolypectomy,EMR等の治療に比べ、より広範囲に病変を切り取ることが可能な治療です。臨床工学技士は治療の介助、処置の管理を行っています。 - ERC(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)業務
肝臓や胆道、膵臓の病気を調べる為、医師の直接介助を臨床工学技士が行い、検査または治療が円滑に進むよう様々な機器やデバイスの操作管理を行っています。
心臓カテーテル領域
- 虚血業務
心臓カテーテル検査及び治療で使用する器材やIVUS、OCT等イメージング装置、FFR、ローターブレーターの操作および管理を行っています。 - ペースメーカ外来業務
ペースメーカーの植込みや定期の外来チェックを医師と協力して行っています。 - 補助循環業務
補助循環装置(ECMO,IABP)は、医師の指示のもと、心臓カテーテル室やICUで操作管理を行います。
手術室医療機器領域
- 人工心肺業務
心臓手術(開心術)で一時的に心臓を止めて手術を行うん際に、心臓と肺の機能を代行するのが人工心肺装置です。血液ポンプにより全身への血液循環循環を代行し、人工肺により肺のガス交換機能を代行します。医師の指示の下、臨床工学技士が操作管理を行います。 - 手術支援ロボット(daVinci)業務
当院では、2011年12月、前身の茅ヶ崎徳洲会総合病院時代に「da Vinci S」を神奈川初導入、2018年9月に「da Vinc Xi」を導入しました。導入時からチームへ参加し、準備~術中~術後まで臨床工学技士がロボット支援の技術提供を行っています。 - ナビゲーション業務
2004年8月、脊椎領域に対するナビゲーションシステム導入開始に合わせて臨床工学技士も手術へ参加。2021年4月からはロボットアームを併用し、脊椎ハイブリッド手術への最新手術にも臨床工学技士が参加し技術提供を行っている。 - 医療機器業務
近年、手術室内で臨床工学技士のニーズは高まっており、麻酔器や生体情報モニタ、レーザ装置や鏡視下手術装置など各種医療機器の準備・操作・点検に留まらず、機器の不具合やトラブル対応など安全に手術が行えるように管理サポートを行っております。
手術室清潔補助領域
- スコープオペレータ
2021年10月に法改正が施行され、臨床工学技士は鏡視下手術の際、医師が行っていた視野を確保するためのスコープ操作が可能となりました。スコープオペレータとは、手術室で行う鏡視下手術において、体内に挿入されている内視鏡用ビデオカメラを保持したり、視野を確保するために内視鏡ビデオカメラを操作する者をさします。 - 清潔補助業務
2021年4月から手術室器械出し業務を開始しました。臨床工学技士も手術室において清潔補助行為は可能であり、診療の補助を行っております。
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