ピンポイント放射線治療

  • Novalis-Tx(ノバリス-Tx)

    Novalis-Tx(ノバリス-Tx)

  • Versa HD(バーサ HD)

    Versa HD(バーサ HD)

当院では2012年10月、高性能の放射線治療装置「Novalis-Tx(ノバリス-Tx)」、そして2019年8月に「Versa HD(バーサ HD)」を導入し高精度放射線治療装置2台体制となりました。がんの形状に合わせた放射線照射で正常組織への影響を減らし、副作用の発生を抑えることができるIMRT(Intensity Modulated Radiation Therapy=強度変調放射線治療)という技術を活用した放射線治療に積極的に取り組んでおります。

定位放射線治療(SRT)について

定位放射線治療(SRT)は、定位照射、ピンポイント照射とも称される治療法です。脳脊髄や肺や肝臓の腫瘍を立体的にとらえ、多方向から集中的に高線量を照射させる方法です。従来の外部照射よりも大線量を、がん腫瘍に精密に限局して少ない回数で照射するため、治療効果が高く副作用が少ないことが特徴です。(1回6グレイ以上で1~5回)

VMAT-SBRT

肺がんのVMAT-SBRT
がんの形状に合わせて多方向から集中的に照射します

IMRTとVMATについて

IMRT

IMRTはコンピュータ技術を活用した照射方法で、照射野(放射線を当てる範囲)の形状を段階的に変化させながら照射する治療法です。放射線治療装置の照射口には、照射野を形作るマルチリーフ・コリメータ(MLC)という櫛の歯状の金属板が取り付けられており、がんの形状に合うようMLCの配置をコンピュータ制御し狙った部分への照射が可能です。

放射線治療装置の中で、照射口が付いたガントリという部分を段階的に動かし、強弱をつけた放射線を多方向から照射することで、がん組織への集中的な照射と周辺の正常組織への不要な照射の低減が可能になる仕組みです。これにより、副作用が少なく患者さんの身体に負担の少ない治療を行うことができます。

マルチリーフ・コリメータ

マルチリーフ・コリメータ

従来の放射線治療では照射中にMLCを動かすことができませんでしたが、IMRTの技術により可能となりました。IMRTは2006年に先進医療に適用後、2010年4月にすべての固形がん治療に対して保険適用となりました。

VMAT(強度変調回転放射線治療)

VMAT(強度変調回転放射線治療)は固定ビームを複数照射するIMRT(強度変調放射線治療)の進化版である、VMAT(Volumetric Modulated Arc Therapy=強度変調回転照射)にも積極的に取り組んでおります。保険適応はIMRTと同様となります。

通常のIMRTでは照射の瞬間にガントリは静止しますが、VMATはガントリを動かしながら照射する範囲や強さをめまぐるしく変化させ回転照射を行います。これまでのIMRTよりも非常に精密な治療が可能でありながら、短時間で治療が行えます。

VMAT(強度変調回転放射線治療)を用いた体幹部定位照射(SBRT)「VMAT-SBRT(体幹部定位放射線治療)」

定位照射は、歴史的には脳腫瘍に対するガンマナイフから始まった照射技術で、それを体幹部に発展させたのが体幹部定位照射(SBRT)です。
この体幹部定位照射(SBRT)を、照射口を回転させながら行う治療をVMAT-SBRT(体幹部定位放射線治療)といい、誤差は1mmオーダーです。
しかし、体幹部のがんは呼吸による移動があります。当科では320列CTで4次元CTを撮影し、呼吸性移動を加味した治療計画を作成しています。呼吸に合わせて照射することで、移動するがんに正確に照射することができ、周囲の正常組織への不必要な高線量照射を避けることができます。

どのようながんに有効か?

定位照射が適しているのは5cm程度までの腫瘍です。健康保険が適用されるのは、肺がん、肝臓がん、前立腺がん、腎がん、頭頚部がんです。(もちろん脳腫瘍にも保険適応になります)
まだ保険適用がありませんが(自費診療になります)、膵臓や脊椎にも適応可能です。
実際に放射線を当てる期間は1週間程度であるため初回診察から約2週間程度で治療が終了します。放射線による大きな副作用は殆ど無いため、外来での施行が可能です。従来のように何週間も通院する必要がなく、普段の生活を大きく変えずに治療が可能です。

前立腺がんの場合の一例

1〜5回の照射で治療できます。回数はがんの種類や患者さんの状況で決定します。

治療法による比較
通常分割法 定位放射線治療
治療期間 8週間(週5回×8週) 1〜2週間5回で終了)
照射線量 2グレイ×40回 7グレイ×5回
副作用発現期間(頻尿など) 8週間続く 2〜3日
PSA減少速度(半減期) 140日程度 70日程度

呼吸同期照射

呼吸による動きがあっても、特定の呼吸タイミングでのみ照射することで不必要な部位への照射を減少させ副作用を軽減します。以前は息を止めたり、腹部を圧迫することで呼吸を制限していましたが、呼吸同期照射により自然呼吸の下で患者さんに優しい治療を実現します。

脱がない・描かない・触らない

精度の高い画像誘導システムを同時に導入しており、赤外線マーカー、X線画像、CT画像などで三次元的に身体の位置を測定し、ずれを自動補正し位置決めを行うことができます。そのため、治療時に患者さんの身体にマジックペンでマーキングする必要がなく、検査着を着たまま治療を受けることができます。

より患者さんに即した、最適な治療計画を

放射線を照射する前にCTを撮影し、コンピュータ(治療計画装置)を用いて、どの部位に、どの方向から、どれくらいの量の放射線を何回に分けて照射するかを検討し、治療計画を立てます。
治療計画とは、どのように放射線を照射するかをコンピュータによる線量分布計算で確認し、最適な照射範囲や照射角度を決めることです。高精密度の放射線治療を行うためには綿密な治療計画が必須です。この計算は複雑で、患者さん1人あたり数時間を要するため、治療計画作成に時間がかかります。
このため当院では、新しい治療計画システムを導入し、より高度な放射線治療計画を、高速で作成することが可能となりました。計算には遺伝的アルゴリズムを応用して、数学的に最適なプランを51通り同時に作成します。その中から臨床的に最適なプランを選択することで、患者さん一人ひとりに最適な治療計画が作成できます。

高線量を照射する定位照射では、通常の外照射よりも精密に位置決めを行います。腫瘍には十分な線量かつ重要臓器への線量回避といった相反する目標が存在するばかりか、呼吸同期照射など照射技術の進歩と共に、治療計画はますます複雑化しています。
2016年より、ProKnow社(米国)のプランニングスタディに参加し、世界中の放射線治療関係者と共に研鑽を積んでいます。治療計画の正確性をスコア化して競うプロフラムでは、世界上位の表彰を受けました。
治療機器がいかに高性能であっても、それを活かす技術がなければ、高精密な治療は実現できません。スタッフ一同、修練を重ね、患者さんに負担が少なく効果的な放射線治療をこれからも目指して参ります。

放射線治療実績
患者数(新患+再患) うちIMRT(VMAT含む)
2015年 457 290
2016年 561 362
2017年 626 344
2018年 580 304
VMAT-SBRT

高精密度放射線治療センターのスタッフ

治療の流れ

1診察
病状、検査所見から、専門医が治療方針やスケジュールを決定します。治療を進めていくうえでの注意事項など、放射線治療についてご説明します。
2治療計画用CTの撮影
治療計画用CTを撮影し、がんの位置・大きさ・形状を正確に把握します。必要に応じてMRI撮影、固定具の作成も行います。
3治療計画の作成
撮影した画像をもとにコンピュータで線量分布計算を行い、最適な照射法を検討し、治療計画を作成します。
4治療開始
治療計画に基づいて放射線を照射します。1回の治療は治療室への入室から退室まで約15分程度です。基本的に通院で、治療期間はがんの種類と部位によって異なります。
5治療後のフォローアップ
定期的に診察を行い、治療効果や副作用の状況を確認していきます。

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